不妊症の原因には、当然女性だけでなく男性にも原因があります。そのため男女両方で検査をすることが大切です。
そしてどちらかの原因、または2人で原因が見つかれば、その原因に対して対処していくことが重要になります。そんな中でも特に女性の原因について考えてみましょう。
女性の原因には排卵因子、卵管因子、子宮因子、頸管因子があります。どのような原因のことなのかご紹介しましょう。
まず排卵因子とは月経周期が正常範囲の中で、基礎体温が低温期と高温期にしっかり分かれている場合は問題ありません。
しかしこれらに問題がある場合は排卵障害が考えられます。排卵障害の原因はもちろんさまざまありますが、プロラクチンの過剰分泌や男性ホルモン分泌更新などによる多嚢胞性卵巣症候群の可能性も。排卵因子とは排卵自体にトラブルがある原因のことを言います。
卵管因子というと、卵巣から卵子が子宮に通らない原因のことを言います。性器クラミジア感染症などが原因で、卵管閉塞や卵管周囲の癒着などが起こることも。
また盲腸などの手術を受けた人にも卵管周辺の癒着を起こしている場合あります。他にも生理痛などが強い場合は子宮内膜症の疑いがあり、このようなタイプにも卵管周辺にトラブルがある場合があるのでチェックが必要となるのです。
子宮因子は子宮にトラブルがある場合のことで、着床に問題が起こることがほとんど。着床ができないということは粘膜下筋腫の場合も着床障害につながります。
子宮筋腫も精子が卵子に到着することを阻むことになるので受精困難ということにも。また子宮奇形は先天性の場合は、流産の原因になることもあり、手術による治療もあります。
頸管因子は排卵期に多くでるべき粘着性の低い、受精のために大切な粘液の減少が原因のことを言います。
粘着性が少なく透明のおりものは、精子を酸化から守りながら子宮内に誘導し妊娠しやすくなるのです。このおりもの頸管内粘液量の問題を調べるために頸管因子の検査も必要となります。
目次
不妊症の原因である排卵因子について
不妊症の原因の中には、排卵因子に関係している場合も多いと言われています。排卵因子は排卵がスムーズに行われないという問題です。
もちろん排卵が行われない原因はいろいろありますが、特に多いのはプロラクチンの分泌が過剰であることが考えられます。
プロラクチンとは授乳中に多く分泌する物質です。授乳中に妊娠でできないように、自然の働きとも言える症状です。プロラクチンの分泌が多くなると、体は授乳中と間違って妊娠はできない体になってしまいます。そのため高プロラクチン血症を改善することが大切になります。
他にも女性ホルモンの中にはエストロゲンとプロゲステロンがあり、二つが交互に優勢となって生理のメカニズムが正常に起こり排卵もできるわけです。
しかし黄体ホルモンがずっと分泌されてしまうと、実際に基礎体温変化も起こらず、ずっと妊娠中の状態になってしまうので排卵はされません。
いわゆる女性ホルモンのバランスが乱れに関係しますが自律神経の乱れから来る場合もあり、ストレスなど病気ではないことが原因になって24いることも。
また卵巣の機能の低下によって卵子が作られない、あるいは作る時間がとても長くかかるという場合もあります。卵巣で卵子が作られなければ妊娠は絶対に不可能です。
そのため卵巣の機能を高める治療も行うようになります。もちろん卵巣の病気という場合もあれば、単に血流が悪いことからこのようなことが起こる場合も。そのためしっかり検査をして原因を見つけることも重要となります。
不妊症の原因である卵管因子
不妊症の原因の一つである卵管因子について考えてみましょう。卵管因子の中にはいろいろなものがありますが、卵管が閉塞や卵管周囲の癒着によることがあります。
それによって卵巣で作られた卵子が、卵管を通って子宮に入ることができずに受精できないというトラブルになります。
これが卵管因子場合、卵子そのものや卵巣にトラブルがないことがほとんどです。特に性器クラミジア感染症によって卵管が塞がってしまうことも多く、まず性器クラミジア感染の検査を行います。
また卵管の周辺のトラブルとしては子宮内膜症などによって、卵管周囲に癒着が見られることも。生理痛が強くなっているときなどは、この子宮内膜症の可能性もあります。
しっかり検査をして癒着が内科の検査が必要です。他にも盲腸などの手術を受けた人に、卵管周囲の癒着が多く見られるとも言われています。
もちろん卵管は2つあるので、絶対に1カ所が詰まっていても妊娠できないわけではありません。しかし可能性は半分ということになるので、不妊治療の対象となります。
不妊症の原因である子宮因子
不妊症の原因の中には子宮因子の場合もあります。子宮因子の場合、子宮そのものに原因がある子宮内膜炎や子宮筋腫などが考えられますが、特に子宮の内側に隆起するタイプの粘膜下筋腫の場合は受精まで無事に行われても着床させることができません。
また子宮筋腫は着床に悪影響を与えるだけでなく、精子が子宮内の卵子にたどり着くことを邪魔してしまうことにもなりかねません。
子宮内膜は卵巣からホルモンの働きで厚ぼったくなっていきます。いわゆる受精卵のベッドになるわけです。
もちろん妊娠しなければ生理として排出されていきますが、子宮内膜炎などによって、正常に受精卵のベッドを作ることができません。
急に生理痛が強くなってきたり、生理の量が非常に少なかったり多かったりした場合は、早めに医師に相談して治しておくようにしましょう。
軽いうちなら薬物療法もありますが、多くの場合腹腔鏡手術で手術をする場合が多いようです。
また薬物治療の場合は、擬妊娠療法や擬閉経療法など、女性ホルモンの分泌を低下させること子宮内膜炎を抑えていくという方法です。自然に女性ホルモンの分泌が低下する中高年になると、自然に治っていくことがほとんど。
しかし妊娠したいと思う年齢のときには、まだまだ女性ホルモンの分泌が多く、どんどん悪化する可能性があります。
どちらの方法で改善するかは、その人の状態によって医師が判断しますが、薬物治療の場合はすぐに妊娠できません。半年~1年は妊娠可能になるのが遅れる場合も。そのため手術する場合もあります。
不妊症の原因である頸管因子について
不妊症の原因である頸管因子について考えてみましょう。排卵近くなると透明な粘着性の少ないおりものが大量に出てきます。これは精子がこの透明なおりものの中で劣化せずに数日生きることができます。
そのため数日前に精子が膣内に入ったとしても、排卵までの2~3日生きていることができるのです。
また精子が卵子までたどり着きやすくするためにも、この独特なおりものは重要と言われています。しかし人によって、このおりものが排卵直前になっても、なかなか思ったように排出されないことも。
頸管因子の場合、特にこの粘液量のトラブルが多くなります。精子が子宮内に届かないために不妊に繋がることも。確実な不妊理由にはならないまでも、妊娠しにくいという原因にはなってしまいます。
不妊検査でも必ず粘液量検査は行われるので、トラブルがあればすぐに分かります。精子が卵子に向かって子宮へ進むときに、粘着性のある普段のおりものは逆に精子の進行を阻みます。
そのため排卵日直前に増える透明の卵白のような形状のおりものは妊娠のために欠かせないのです。これが思ったように出ない場合は治療を要します。
卵胞の生育不足によって排卵の信号が出せずに、この特殊なおりものが分泌できないことがほとんどです。この場合はエストロゲン不足ということになります。
他にも子宮頸管内に炎症や感染がある場合もあり、その場合は感染や炎症を治療することが大切です。この辺をしっかり検査して治療をしていくことが大切になります。
内分泌ホルモン異常とは何か?不妊との関係は?
わたしたちの体では体の表面や消化管から分泌される外分泌と、血液やリンパ管などから分泌されるホルモン、内分泌があります。
そして内分泌から分泌されるホルモンのバランスが乱れることを内分泌ホルモン異常といいます。内分泌ホルモン異常によって不妊症、不育症などの原因にもなってしまうことにも。
ホルモン分泌を行う部分は甲状腺や卵巣、胎盤、精巣などを思い浮かべますが、実は下垂体や副甲状腺、副腎、膵臓、腎臓などからもホルモン分泌が行われています。
下垂体前葉から分泌されるホルモンには、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン(黄体刺激ホルモン)。
下垂体中間部からはメラニン刺激ホルモンが、下垂体後葉からはオキシトシン、抗利尿ホルモン(バソプレッシン)。
甲状腺からは、サイロキシントリヨードサイロニンとカルシトニン。副甲状腺からはパラソルモン。副腎皮質からは電解性コルチコイドと糖質コルチコイド副腎アンドロゲン。
副腎髄質からはアドレナリンとノンアドレナリン。膵臓のA細胞からはグルカゴン。B細胞からはインスリンなどが分泌されているのです。
これらの内分泌に異常が起こることで不妊にも大きく影響があります。
特に黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能低下症、糖尿病などが内分泌ホルモン異常から併発すると不妊、不育につながると言われています。妊娠を希望するならこれらの症状がある場合は治療をすることが必要となります。
治療法はそれぞれによって違いますが、大まかにご紹介すると黄体機能不全の場合は黄体ホルモン補充治療。高プロラクチン血症の場合はドーパミン製剤による薬物治療。甲状腺機能低下症の場合も薬物治療。
糖尿病の場合は傾向血糖値降下薬やインスリンなどの治療があります。もちろん食事治療という段階の場合も考えられるでしょう。妊娠がなかなかできないという場合はこれらの検査も行い、チェックすることも重要です。
卵巣機能不全とは
卵巣機能不全とはどういう症状の病気なのでしょう。そしてその原因と治療法なども考えてみたいと思います。まず卵巣機能不全自体病気ではなく、卵巣の機能が健全ではないということなのです。
そのために起こるいろいろな症状があります。卵巣は生理のメカニズムにも深く関係する、2つの女性ホルモンの分泌を促します。
多くの女性がご存じのエストロゲンとプロゲステロンの2つのホルモンのバランスはとても重要です。
ホルモンが乱れることで自律神経失調症の特徴とも言えるさまざまな症状が出たり、生理痛や生理不順、不妊にまでつながっていくでしょう。
では原因は何なのでしょう。例えば卵巣自体にトラブルがある場合もあります。例えば卵巣ガンや卵巣腫瘍などいろいろありますが、卵巣自体の病気がある場合は、早く発見して治療をするしか改善の方法はありません。
しかしストレスなどにとても大きく影響を受けるところなので、治療法の1つとしてストレスを解消することも重要です。
もちろんストレスといっても、精神的なストレスと肉体的なストレスがあります。肉体的なストレスとしては環境の悪いところでの生活や、睡眠不足、過労、過度な運動などで、肉体的なストレスはある程度意識して避けることができるのではないでしょうか。
また精神的なストレスの場合は、人間関係や自分自身ではどうにもならないストレスの原因もあります。このような場合は自分の考え方をチェンジすることも大切かも知れません。
また好きな趣味を楽しむ時間をつくったり、ゆっくりお風呂に入ったり、温泉や旅行などに出掛けてみるなど、自分なりのストレス解消をしていきましょう。
自宅のお風呂にアロマを入れたり、ゆっくりした時間をつくるのもおすすめです。生理の不順、痛み、遅れ、乱れがあったら、まず卵巣機能不全ということを考え、医師に相談するようにしましょう。
その原因を突き止めることが改善への第一歩になります。
卵管狭窄とは
不妊検査などでよく耳にする卵管狭窄という症状がありますが、一体どのような症状なのか、何が原因で起こるのか、治療法はどのような方法があるのか。また卵管閉塞とは、どのような違いがあるのかなども考えてみましょう。
卵管狭窄も卵管閉塞も卵管障害の1つということになります。まず卵管とはどういう臓器かのご紹介をしましょう。
卵管は左右に分かれており片側の長さは約12センチ、管の内側の直径は約1ミリあり、卵巣と子宮をつないでいるパイプのような働きを持っています。
卵巣で作られた卵子が排卵によって卵管に入り込み、そこで精子と出会って授精し、子宮で着床していくという部分でもあるのです。
卵管狭窄は卵管が何かの原因によって狭くなってしまう症状であり、卵管閉塞は完全に詰まってしまっているというものです。卵管狭窄は妊娠しにくいが妊娠できる可能性もあるとも言えます。
もちろんその狭さにも関係してきますが、まったく不妊の原因とは言い切れないのです。
しかし卵管閉塞は完全に詰まってしまっているので妊娠は不可能となります。そして卵管狭窄は卵管閉塞へ進む課程とも言うことができ、原因は同じことも多いのです。
原因については骨盤内の炎症がほとんどと言われています。例えば子宮内膜症、子宮外妊娠、虫垂炎などがあり、炎症が卵管で癒着を起こしてしまうことによって起こります。
性感染症の一種、クラミジアにかかったことから卵管に炎症が起こり、卵管狭窄や卵管閉塞が起こることも多いのです。
治療法としては卵管機能を戻すことが重要となり、卵管形成手術という治療法もあります。
また顕微鏡下手術(マイクロサージャリー)や腹腔鏡下手術(ラパロスコピー)、卵管鏡下手術(FT)など、いろいろな手術の方法があるので、その人の狭窄の症状に合った治療法が選ばれるということになります。
また手術までしないで、卵管通水法などによって改善することもあります。まず今の状態を検査することが大切です。
子宮筋腫とは
子宮筋腫とはどういう疾患なのでしょう。その原因や症状、治療法などを考えてみましょう。子宮筋腫とは多くの場合は、子宮筋層の中にある平滑筋から発生します。
エストロゲンが大きく影響する筋腫で良性筋腫ですが、放っておくと悪性筋腫に変化することもあるので、場合によっては手術などで子宮を取ってしまうこともあります。
しかしこれから妊娠を希望する場合は、子宮温存による治療を行うことに。この場合は筋腫の部分だけを手術で取るという子宮筋腫核出術法がありますが、再発の可能性もあるので手術後半年後からは、早めに妊娠を計画すべきとのこと。
また閉経に年齢が近づいている場合は、エストロゲンの減少が期待できるので、治療をせずに様子を見るという場合もあります。
子宮筋腫はエストロゲンの働きによって、発育する性質を持っているので、閉経に近づきエストロゲンが減れば、筋腫は自然に小さくなっていくということになるのです。
筋腫の大きさも顕微鏡レベルで見られるものから、数十㎝もの硬い球状のコブになるものまでさまざま。数も1個から数個できるものなどがあり、ほとんどは子宮本体に発症。1割程度は子宮頸部に発症します。
原因は不明なところがまだまだ多い疾患ですが、未分化の子宮平滑筋細胞が胎児期の分化のときに、何か影響しているのではないかと言われています。冷え性やストレスなども関係あるのではないかと言われています。
症状は生理のときの出血がとても増え、レバーのような血の塊が出るようになるのも大きな特徴です。生理痛、貧血、動機、息切れなども起こることも。また下腹部がふくれてくることもあります。
疲れが激しくなることもあり、体調が優れなくなることも。子宮菌種は不妊症の原因になることもあり、また妊娠したとしても流産や早産の原因にもなりかねないため、妊娠する前には治療しておきたいものです。
そして発見は早く行い、すぐに治療ということでなくても、経過を見ていくといいでしょう。大きな手術になる前に医師の指導に従って治療を始めることもできます。
子宮内膜症とは
子宮内膜症とは主に、20代から30代の女性に多い疾患と言われています。生理のときには子宮内に作った、授精したときの受精卵のベッドとも言われる粘膜で作られた部分が、排出されていきます。
いらなくなったそれらの組織膜を含む血液は、子宮口から排出されていきます。
しかしこの血液が一部、卵管を通って腹腔内に逆流する場合があります。逆流した血液は出るところがないため、子宮以外のところで溜まっていき、それが続くことで子宮膜のような組織を、その部分につくりあげていき、どんどん増大していくのです。これが子宮内膜症の直接的な原因と言われています。
症状としては生理のときの生理痛がとても強くなったり、骨盤の痛み、排便痛、性行痛などが起こることもあります。骨盤内の臓器に癒着したり、肥大していくと妊娠しにくくなり不妊の原因にもなるのです。
治療としてはピルなどを使って、生理をコントロールするという薬物療法があります。また手術療法では原因の部分と、その周辺の組織を取ってしまうという方法もあります。
女性が社会に出るようになりストレスが増えたことも、子宮内膜症が増えている原因とも言われています。
女性の場合、体調不良や生理のときに症状が出やすいので、異変を感じたら医師に相談することが大切です。
早期治療によって手術をしなくても、薬物治療のみで改善できることがほとんどです。そのため、できるだけ妊娠を期待するなら早めの治療をおすすめします。